summer resort −3−


「…や…め、…あ…っ!んんっ!」

 指が内壁を掻き回す。指先が処処に刺激を与える。
 ちくちくする痛みの合間に、時折敏感な部分を突付かれて、衛はその度に声を漏らした。

「もっと、奥の方がいいんでしょ?」
「フィ、フィオレ…」
「でも、これ以上届かないよ」
「…はっ、や、やだ…。ぬ、抜いてくれ…」
「拗ねないで。代わりにもう一本、増やしてあげるから」
「…んっ!」

 蕾に射し込まれたフィオレの一指し指を、衛はキツく締め上げた。
 衛の抵抗をこじ開けて、中指が突き刺さって来る。
 
「…ひっ!…い、痛…っ」

 二本に増えた指は、蕾を広げながら衛の内壁を掻き乱す。
 指先が交互に撫でるので、刺激が更に伝わって来る。

「ン…、んんっ、あ…っ」

 こじ開けられた部分の痛みはすぐに治まった。指で弄られる快感が何よりも勝っていく。

 フィオレの指は丹念に衛の内を解していく。
 指の愛撫は気持ち良い。だが同時に、求める場所に到達して来ない物足りなさが、衛を焦らした。

「…もう、よせ…。もう…、いいから…」
「衛くん?」

 フィオレは指を動かしながら、衛の口許に顔を近づけた。

「何?」
「…フィオレ、指…、もう…いい」
「指だけじゃ物足りないってこと…?」
「……ん」

 ゆっくりと二本の指で衛の内を掻き撫でた。衛は吐息を荒げて、喘ぎを漏らす。
 唾液に濡れた衛の唇の隙間から、淫らな舌が覗く。
 フィオレは衛に口付けると、乱暴に唇を貪った。衛は応じて舌を絡ませる。

「ん…っく、んんっ!」
「衛くん、キス、上手じゃない」
「あ、あっ、フィオ…レ…、んっ」

 衛は旺盛にフィオレの唇を貪り返す。唾液を飲み干す喉が鳴り、呼吸が全て喘ぎ声に変わる。

「凄いね。誰と、こんなキスしてたの?」
「…え?」
「君は女の子とは、こんなキスしないよね?」
「馬鹿…、お前と…」
「僕がいない間は?ん?」
「…誰とも、して…ない。あ、フィオレ…、指、もう…、やだ」

 指の愛撫に身体を震わせながらも、キスで刺激を浴びた分だけ焦れったさが増して来る。
 衛はフィオレを求めて、抵抗を失っていた。

「フィオレ…、」
「指、抜いて終わりにしろって?それから?」
「……こんなにしておいて…、どうして欲しいか、解ってるだろ…」

 フィオレは一気に指を抜いた。
 両脚を開かれ、露出した衛の秘所はヒクヒクと震えた。

「衛くん。僕は今、君を調べてるんだよ?君を悦こばせてあげてる訳じゃないんだ」
「……え」
「君は僕を不安にさせてるんだよ?だから、君にはご褒美じゃなくて、お仕置きが必要だね」
「フィ、フィオレ?」

 両脚に絡みついた蔦が、更にきつく衛を縛りあげた。
 小さな蔓が数十本伸びて来て、一斉に衛の肢体に纏わり付く。

「や…、やめ…!」

 細く柔らかな蔓が衛のペニスに絡み付き、幾重にも巻き上げた。
 フィオレの指の愛撫に反応して、既に膨らんだ衛の欲望が拘束される。
 程良い絞め加減で縛り上げる蔓を、放出を堪える衛から染み出した液が、トロリと濡らした。

「んんっ!…あ、あふっ…」

 蔓は衛の身体中を這い巡った。
 耳の中を擽り、唇を撫でる。胸を押さえる太い蔦から芽生えた小さな蔓は、その葉先で衛の乳首を突付いてこねた。
 
 一度に幾つもの性感帯を刺激され、衛は訪れた快楽に理性を失いそうだった。
 声を我慢することが出来なくなる。
 声を出していることも解らなくなる。無意識に甘い悦びの喘ぎが漏れた。

「衛くん、いい声。…そんなに気持ち良い?」
「あ…、あ…ん…、あっ…」
「随分感じてるね。久し振りだから…?それとも、誰かにそういう身体にされちゃったから?」
「あ…っ!」

 ペニスに絡んだ蔓が、根元の辺りをキツく締め上げた。
 その痛みに僅かに衛は意識を取り戻す。

「…こんな身体にしたのは、…お前じゃないか。お前が…、こんなこと…するから」
「衛くんは元々感度が良いんだよ。最初から感じてたじゃない」
「お前が、お前が全部…」
「そう。僕が君をこんなに悦べる身体にしたんだよ。君がこんなに淫らだってこと、最初から知ってたのは僕だけだよ。僕は君が何を望んでるのか、ちゃんと解ってた」
「……んっ」
「覚えておいてね、衛くん。君を悦ばせるのは僕だけだ。何度でも君が求めるだけ、いや、もっとそれ以上に僕は君に快楽を与えてあげる。だから、君は僕以外に、君のその淫らで綺麗で物欲しそうに誘う表情を見せちゃいけないよ」
「……あ、…やめ、…んんっ!」

 細い蔓の先が、突然衛のペニスの先端を突き刺した。
 蔓が尿道を弄り、雁首に巻き付いた蔓が更に締め上げる。

「あっ!…あっ、あふっ!!」

 身体を支配する他所の快感とは違う、もっと強烈な刺激が衛を包んだ。背筋が仰け反り、全身が痺れる。

「は…っ!んんっ!あぁ…っ!!」
「衛くん、やっぱりここも感じるんだね。今度からは、ここもちゃんと弄ってあげるね」

 カテーテルに似た細い蔓が、衛のペニスの先端を刺激し続ける。
 根元を縛られて射精を封じられた衛は、解放を迎えられない快感の連続に喘ぎ声を枯らしていく。
 先程までフィオレの指に解されていたアナルだけが、蔦の愛撫を逃れていた。

「フィオ…、も…、やだ…」
「どうしたの?衛くん」
「出し…たい…、これ解いて…、もうイカせ…て」
「随分素直だね。いつもはなかなか、そんな風には言ってくれないのに」
「もう…我慢でき…な」

 フィオレは微笑んだ。

「意地悪してごめん、衛くん。…でも、こんなんじゃまだイカせてあげられないよ」
「フィ…、フィオレ、頼むから…」
「君の身体を弄ってる蔦の感触は全て、僕とシンクロしてるんだ。君の身体がどれだけ悦んでるか、僕には良く解ってる。僕が与える愛撫にこんなに悶えてくれて、本当に嬉しいよ。衛くん」
「だ…め…、もう…、変になる」
「まだ肝心な場所が残ってるじゃないか」

 衛を拘束する大木の枝から、先端に硬い蕾を付けた太い蔦が二本伸びて来た。
 フィオレはその蔦をキャッチすると、一本の蕾を舌で舐めた。
 その途端に蕾が柔らかく膨らみ、形状変化した。

「感覚だけじゃなくて、体内機能もシンクロ出来るんだよ、衛くん。例えば、こんな風に」
「……何…?」
「そろそろ僕も気持ち良くなりたいからね。勿論、君と一緒に」
「フィオレ…」

 更に小さな蔓が伸びて来て、フィオレの目の前に晒されていた衛のアナルに触れた。
 双丘の間の窪みに向かって、蔓の先の芽から、蜜のような粘液が噴射される。

「あっ…!」

 トロりとした液体が衛の尻を濡らした。蔓はその粘液を穴の周りに丹念に塗り付ける。

「んくっ!」

 指にローションを付けて弄られているような感覚だ。衛は濡れた指先で小さな穴の入り口を、撫でたり突付かれたり、押し開かれたりする行為に弱い。
 くすぐったさに背筋がゾクゾクして、甘い声が漏れてしまう。
 その間にフィオレが手放した太い蔦がその傍に近寄り、様子を伺っていた。

「こ、これ…な、何…?」
「心配しないで。ただの潤滑油だよ。さ、もういいよね」
「……え?…ひっ!」

 途端に、お預けを食らっていた太い蔦が勢い良く衛に侵入を始めた。
 充分に解され濡らされたアナルは、容易に蔦の挿入を受け入れる。

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