summer resort −4−


「や、…やめ、…あぅっ!!」

 一気に奥深く突き刺さった蔦の先端は、衛の内部で動き始めた。

「あ…、あぁっ、…んんっ、んっ!」
「お待たせ。これ、欲しかったんでしょ?」
「あぅ…、あ…、は…、ああっ!」

 衛は喘いだ。
 身体のあちらこちらに快感を与えたれて、それでも満足を得られなかった場所。
 やっと焦らされて待ち望んだ場所に、求めていた刺激を受ける事が出来た。

「あ…、んんっ…、い…イイ!」
「気持ち良さそう、衛くん」
「フィ、フィオレ…、もっと…、あっ!」
「いいよ。もっともっと気持ち良くしてあげる。…でも、僕ももっと気持ち良くしてくれるよね?」
「…ん、……んくっ!?」

 衛の体内を貪る蔦と同じ姿をしたもう一本の触手が、衛の唇を割って咥内に侵入した。
 
「ん、んふっ!んんっ!!」

 衛の口いっぱいに入り込んで来た蔦の先は、柔らかな蕾であったが、生暖かく肉に似た感触があった。
 ペニスに良く似ている。フィオレにフェラチオさせられた時の感触を衛は思い出した。
 あの時と同じように咥内を占領されたが、衛が舌を使う必要もなく、蔦の方が勝手に這い回り、喉の奥を刺激する。

「ん…、んふ…っ」
「凄い、いいよ、衛くん。君のなか、両方凄く気持ち良い…!」

 二つの口で咥えさせられ、性感帯の全てを愛撫され弄られ刺激され、衛は既に理性を失っていた。

「前から一度試してみたかったけど、条件が合わなきゃ出来なかったし。…衛くんもいいでしょ?こういうの。ん、そんなに締め付けちゃ、痛いよ。でも、イイ…」
「ん…んん…」
「辛かったろ?…そろそろ許してあげようかな。先にイカせてあげるね」
「…っ!」

 衛のペニスに絡み付いて射精を封じていた細い蔓が、その威力を弱めた。
 尿道を突付いていた蔓先も退く。
 限界を迎えて我慢させられていた衛は、解放された途端に勢い良く射精した。
 白い精液が衛の腹を汚す。

「んふっ…、んん…、んっ…」

 射精の安堵と、咥内を支配する肉棒に似た蔦の刺激で、衛の目尻から涙が零れる。
 二本の蔦は動きを緩めず、衛の二つの口を犯し続けた。

「こっちも、そろそろ限界。だって、こんなの気持ち良過ぎる…」
「ん…、んくっ」
「出すよ、衛くん」
「んんっ!」

 同時に衛のアナルと咥内にフィオレは射精した。
 
「…うっ!…んんっ!…はっ!」

 咥内に溢れた白い液で衛は咽た。植物が放出した液体は、濃さも臭いも精液と良く似ている。

「けほ…っ、んくっ、んっ」

 苦しそうに咳き込む衛の咥内から、目的を果たした蔦は脱した。
 同時に衛の内に欲望を解き放ったもう一本の蔦も、支配していたアナルから抜け出す。

「…は…、あ…ぅ…」

 衛の口許とアナルから、白い液がトロリと零れ落ちる。
 脱力した衛の身体は、縛る蔦に支えられその肢体を夜に晒したままだ。

「衛くん、最高…。君のなかは本当に気持ち良い」
「あ……」

 両脚を開かされたまま、精液に汚された衛の姿は、フィオレの支配欲を満足させた。
 唇が濡れているのも構わずに、衛に口付ける。
 衛は従順にキスに応じて、何度も舌を絡ませ、唾液を飲み込んだ。
 フィオレは自由を失った衛の代わりに、萎えた衛のペニスを扱いた。
 
「もうちょっと、そのままで居てね」
「フィオレ…」

 自由を奪われた衛の代わりに、フィオレは萎えた衛のペニスを握ると、優しく扱いた。

「ん…っ、あ…っ、あ…」
「まだ、出そう?」
「ん…」

 濡れたペニスの先をフィオレは咥えると、舌で舐め上げた。

「あ…、…イイ…っ」

 思わず本音が漏れる。敏感になった部分は僅かな刺激で再び熱を取り戻す。
 我慢していたものを一気に放出したにも関わらず、残っていた射精感がすぐに湧き上がった。

「出していいよ。全部、僕に頂戴」
「…あ、馬鹿、本当に…。……っ!!」

 軽く歯を立てられた瞬間、衛は再び射精した。
 残った精液がフィオレの咥内に流れる。
 フィオレの喉が鳴る音が耳に届いて、意識を取り戻した衛は耳まで紅く染まった。

「…んっ。元気だね、衛くん。溜まってたって事は、最近してなかったの?」
「当たり前だ!…馬鹿」
「良かった、他の誰かに君を盗られてなくて」
「……他に、誰とこんなこと、するんだよ!」
「僕のこと、待ってくれてた?」
「…お前、オレがお前以外と…。ちゃんと解ってるくせに…」
「ごめん」
「何で…こんなこと、するんだよ」
「だって僕、君が僕以外の誰かと一緒に居たら、ヤキモチ焼いちゃうんだ」
「おかしいぞ、そんなの」
「それにね。久し振りに、衛くんのこういう可愛い姿、見たかったんだ」

 我に返った衛は、改めて自分の姿を見て羞恥した。
 酷い格好だ。木に縛り付けられ、両脚を開かされて尻を持ち上げられている。フィオレの目の高さで股間が丸見えな状態だ。
 腹と腿、そして口から首筋を、白い精液が汚している。

「フィオレ、もう解いてくれよ。は、早く降ろせ!」
「このまま、もう暫く眺めていたいな」
「ダメだ!頼むからすぐに解いてくれ!」
「わかったよ。衛くんの身体、あんまり辛いことしたら可愛そうだし」

 フィオレが溜息を落とすと、頑なに衛の足を封じていた蔦の力が弱まった。
 衛はようやく、下半身の自由を取り戻した。

「フィオレ、こっちも」
「慌てないで、落っこっちゃうよ」

 フィオレは衛の身体を正面から抱き締めた。
 支えられると、今度は腕を押さえつけていた蔦の力が弱まる。

「あ…っ」
「ほら、気を付けて」

 暫く縛られていたせいで、身体の感覚が鈍くなっている。
 解放されて、脱力した身体を上手く操れず、衛は支えになってくれるフィオレの腕に倒れ込んだ。

「……あ、何…。…んっ」

 倒れ込んだ衛の身体を掴むと、フィオレは再び衛に口付けた。
 今度のキスは優しい。舌がゆっくりと唇を舐めた。

「フィオレ…」
「衛くん、大好きだよ。…凄く、好き…」
「…解ってるよ。だから、こんなことしなくてもオレは…別に…」
「僕とのセックスを拒まない?」
「……馬鹿!」

 衛は再び顔を紅くすると、慌ててフィオレの腕から飛び出した。
 フィオレに脱がされた服を見つけて拾うと、早々と下着とスラックスを身に纏う。

「あ…、」

 衛は顔を顰めた。
 股間を汚していた精液が、下着を濡らしてスラックスに染み出した。
 脱ぐ間もなく着込んだ事が後悔される。
 改めて上半身を見ると、乱暴に引き裂かれていて、露になった腹と胸元に、衛が放った精液がこびり付いていた。
 とても人前に出れる格好ではない。

「フィオレ、どうするんだよ。こんなんじゃ宿に戻れないじゃないか」
「そのままでいいのに。艶っぽいよ、衛くん」
「ふざけるな!」

 着替えは宿舎の、共同の寝室だ。
 明日も早朝から仕事だ。もう同室の面々は就寝してる頃だろう。
 こっそり戻っても良いのだが、もし万一誰かにこんな格好を見られたら、もう何も申し開きは出来ない。

 フィオレに着替えを取りに行かせようか…。
 その考えは一瞬にして埋葬された。揉め事が起きない筈はない。

「困ったな。仕事の制服はロッカーの中だけど、ホテルは人目が多過ぎてとてもこんな姿じゃ…」
「衛くん、何困ってんの?」
「お前のせいだぞ?服、こんなにしやがって…。お前と飛び出して来たせいで宿に帰れなくなっちまったじゃないか!」

 涙目になって本気で怒る衛と対照的に、フィオレは笑顔を浮かべた。

「困る必要ないよ。僕の部屋でお風呂入って綺麗にしたら良いじゃないか。サイズちょっと合わないけど、着替えも僕のがあるし」
「え?…お前の部屋って…?」
「ホテルの部屋だよ。僕、泊まってるもん。もうチェックイン済ませてるし」
「なんでホテルなんかに…」
「こんな辺鄙なとこ、日帰り出来ないじゃないか」
「……」

 意外に用意周到なフィオレに、衛は感謝せざるを得なかった。
 フィオレに内側から開けて貰えば、非常階段からこっそりホテル内への侵入は可能だ。

「衛くん、ちょっと冷えちゃったね。部屋に帰って一緒にお風呂に入ろうよ」
「一緒?」
「ここのお風呂、大きかったから二人でも平気だよ」
「そういうことじゃなくて…」

 フィオレには逆らえまい。
 きっと部屋でもセックスする羽目になる。だがベッドの上はこんな暗い山中よりずっとマシだ。

「どうしたの?」
「……なんでもない」

 久し振りのフィオレとのセックスで、身体が疼いたのは否定出来なかった。
 激しい快感が、逆に衛の身体にも火を付けてしまった。夜風に晒されていた身体が肌寒さに、温もりを求めて再び反応する。

「フィオレ…、部屋も広いのかな。…広いよな、ここリゾートホテルだもんな」
「心配しなくても、ダ・ブ・ル・ベッドだよ。衛くんの期待は裏切らないから」
「ば、馬鹿っ!」

 夏の夜が更けていく。
 避暑地の出来事は、まだ始まったばかりであった。

■END■

出来るもんか、と思いつつ始めた連載そのAです。
絶対途中で放ったらかしになるに違いないだろうとの作者の予想を裏切り、見事ENDマークが付きました。まもるたんへの愛は、私が思う以上に強いようです。
つーか、エロ書いてて本当に楽しいと言いますか(笑)
フィオxまもを書き始めた頃に考えてたものでして、それ故にフィオレの嫉妬心が強く反映されています。(最初の頃からもう触手ネタ考えてましたか、私…)
更新が遅いんで始めた連載ですが、次回はまだ未定。連載になると、このように長めのものになってしまうんで、短い(でも濃厚)エロを書きたいなと思ってますんで、また宜しく〜。 2005.08.06 >゜))))彡

(2005.03.02〜06.10 20回連載)

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