【summer resort】 −2−
「なんだよ、改まって」
携帯電灯の電池は充分持つ筈だ。灯りの強さも大きく、闇の中でも周囲三メートルは照らされている。
衛もフィオレも互いの姿を良く見る事が出来た。
下を見下ろせばホテルの場所も判るし、宿舎からもそう離れてはいまい。
衛は安堵して、手近にあった大きな樹木の幹に背を齎せて座り込む。
フィオレは衛の正面に向かって立ち、衛を見下ろした。
「さっき、何であんなに慌てたの?」
「そりゃ、いきなりお前が来るから。誰だって驚くさ」
「僕と一緒に居るの、迷惑そうだったね」
「お前が抱きつくからだろ?皆居るのに、恥ずかしかったんだよ」
「誰か、見せたくない相手でも居たの?」
「何言ってるんだよ。あそこに居た全員に決まってるじゃないか」
「衛くん」
フィオレの表情が強張った。
先程懐いて来た笑顔は、既に真摯な面差しに変わっている。
「フィオレ…?」
「僕、君の部屋で暫く君を待ってた…。でも君は帰って来なくて、僕がどんなに不安だったか判るかい?」
「それはさっき、謝ったじゃないか」
「ここに来るまで、ずっと不安だった。でも、さっき衛くんを見つけた時、僕、そんなもの比べようもないくらい、もっと不安になったんだ」
「何の事だよ」
フィオレの言っている意味が判らず、衛は苦笑する。
「あの連中とずっと、一緒だったんだね」
「そうだけど…?」
「君、僕が居ない間に、」
「え?」
風は止んだままであったが、フィオレの髪の毛が揺れた。
「フィオレ…?」
エナジーの放出を感じる。
衛が異変に気付いたのと同時に、衛が凭れていた木の枝が伸びて来て彼の身体に巻き付いた。
「うわっ!な、何だよ、これ!」
細い枝は柔らかく撓ってロープ状になり、衛の両手首を一つに括り、更に頭上で木の幹に固定した。
抵抗も出来ずもがく間にも枝は幾本も伸びて来て、胸元にも巻き付いて両手同様に幹へと縛り付ける。
「おい!…フィオレ、お前がやってるのか!?」
フィオレが力を使っているのは衛にも分かる。
「地球じゃエナジーが消耗するから、特別な力は使わないって今も言ったばかりじゃないか。それに、こんな力が使えるなんて…」
「地球の環境でも、植物が多い場所だと僕の力は増すんだよ。帰って来たばかりだからね。今の条件じゃこの位の事は特にエナジーを消耗する事なく出来るんだ」
地球を植物で覆い尽くせば、この星に永住出来る環境に成り得るだろうと言っていたフィオレの言葉を思い出す。
知らぬ間にある程度の力のコントロールを身に付けていたらしい。
「だからって、何の真似だ?これは!」
上半身を木の幹に固定されてはいるが、自由な足をバタつかせて衛は抗議する。
「衛くん。僕が居ない間に、あいつらに何かされていないよね?」
「何、馬鹿な事言ってんだ?お前。皆は同じバイト仲間で」
「気付いてなかったの?…相変わらず鈍いなぁ。青いシャツ着てた奴と、入れ替わりに入って来た背の高い奴、あいつら君に興味を持ってる」
「ええ?まさか。何で分かるんだよ、そんな事」
「僕、衛くんみたいに鈍くないもん」
「関係ないだろ。それより、これは何の真似かって聞いてるんだ」
「調べさせてよ」
「え?……うわっ!!」
再び勢い良く数本の細枝が伸びて来て、今度は衛の両足に絡んだ。
枝は蔓のように柔軟で強度もあった。衛が力を込めて引き千切ろうとしても適わない。
膝と足首に幾重も巻き付いた枝は生き物のように蠢いて、衛の両膝を開いて持ち上げた。
「何を…、フィオレ!」
「脱がせるよ、衛くん」
「あ、馬鹿!何…?」
開かされた衛の足の間に入って、フィオレは股間のジッパーを下した。
風呂上りでベルトもしていない無防備な格好だ。動けぬ姿勢で思うままに下着ごとズボンを太腿まで擦り下げられる。
「フィオレッ!」
露になった肌を夜の冷気に撫でられ衛は羞恥した。
フィオレの思い通りに植物は手先となって動き、衛に隙を与える事なく片足ずつズボンの裾を踵から外していく。抵抗出来ないまま衛は下半身をフィオレの前に晒した。
「……やめろ」
両膝は再び大きく開かされ衛はますます羞恥に顔を紅めた。
暗闇の中、懐中電灯の灯りに性器が照らされる。
眼を閉じてフィオレの視線から逃れるが、足に絡んだ蔦は衛の両足を大きく広げたまま、今度は足首を高く持ち上げた。
「―――――っ!!」
上半身を幹に固定されている為に、足を持ち上げられると今度は尻の部分が上を向いて丸見えになる。
「衛くん。君のこういう格好、凄くそそられる」
「馬鹿…っ!なんで、こんな真似…」
衛は必死になって足を閉じようともがいたが、腿を左右に開かれ足首を頭の位置に持ち上げる蔦の力はびくともしなかった。
「離せ!早くこれを外せよ!」
「暴れると食い込んで痛いだけだよ。大人しくして」
「や、やめろ!…嫌だ、こんな格好…!」
「恥ずかしがらなくて良いよ。誰も来やしないから」
暗闇に与えられた灯りは影を多く含んで衛の身体を照らしている。
淫猥な照明が自分の情けない姿を映しだし、衛を更に辱める。
「電気、消せよ。こんな格好、見るな…!」
「駄目。衛くんのここ、良く見せて」
「……ひっ」
フィオレの指が、露になった双丘の割れ目を沿うように撫で、隙間に入り込んで来る。
「…痛ッ…!」
突然指先で突き刺され衛は顔を顰めた。
尻を持ち上げられ、足を開かされている為に多少は広げられているが、何の準備もされていない小さな穴は、一本の指先を埋めるだけでも堅く拒んでしまう。
フィオレは痛みに衛が表情を歪めるのも構わず、指先を回して抵抗する入口をこじ開けていった。
「…やめ、痛い…!」
「良かった。十分堅いね。指一本だけなのに上手く入らない。ここ、誰にも触らせてなかったみたいだね」
「…フィオレ」
「でも君、いつも狭いんだもん。もっと確かめなきゃ」
フィオレは微笑むと、衛の穴を弄っていた指を引き抜き、今度は唇を寄せて閉じた肉の蕾を舌先で突付いた。
「―――んっ!」
舌の動きが蕾をこじ開けていく。痛みはなく、くすぐったさに声が漏れる。
「止めろ!嫌だ、そんなところ舐めるな…!」
「だってこうしないと入らないんだもん。もっと奥まで調べなきゃ」
「何を調べるんだ…よっ」
「ここが僕だけのものだって、ちゃんと確かめておかなきゃ、ね」
「…お前、何言って、…あっ!」
唾で濡れた双丘の隙間で、固く閉じていた蕾がひくひくと動き始める。
フィオレはそこに再び指を一本突き入れた。先程と違ってスムーズに埋もれていく。
「…衛くんのここ、これだから心配なんだよ。最初は堅いのに慣らすとすぐに柔らかくなるから。でも相変わらず、ここ綺麗だね。もっと明るい場所で見たいなぁ」
「…馬鹿、あ…、指抜けよ…!」
「まだ最初じゃないか」
すっかり付け根まで飲み込んだ人差し指をフィオレは衛の内で動かした。
「あっ!…んんっ!」
肉に絡んだ指を素早く掻き混ぜる。衛はその動きに反応して仰け反った。
「あ、ここ?」