【 元基くんとフィオレくん 】

(…あれ?あいつ、衛のとこに居る…)

「やぁ。君、衛の友達の…えっと、」
「フィオレ」
「あぁ、そうそう。オレは古幡元基。ここのゲーセンでバイトしてるんだ」

---こいつ、衛くんと仲が良い奴だ。確か、大学も同じ…。

「今日は一人で遊びに来てるのかい?」
「ああ。衛くんのバイトが終ったらここで待ち合わせの約束してるんで、時間潰し」
「そっか。それ昨日入荷したばかりのゲームなんだ。挑戦してってくれよ」
「……」

(愛想悪いなぁ〜。フィオレって外人?…ハーフかな?そのせいかも?)

---古幡元基。要注意だな。でもまぁ、今のところ衛くんに手出しする気配は感じられないからいいが…。


「君、衛の幼馴染なんだって?」
「そう。僕たち幼い頃、同じ病院に居たんだ。でも僕は長くは生きられない状態で…」
「ええっ?」
「いつまでも衛くんの傍に居られなくなって、さよならしたんだ」

(そうか。衛が事故で入院してた時に同じ病院に居たんだな。長く生きられないって、相当悪い病気なんだろうな…。そういやどことなく顔色も悪いし。久し振りに帰って来たって言ってったっけ。…難しい病気だと国外の医療技術に頼るって話は良く聞くし、きっと外国の病院に手術に行ったんだ)

「い、今は、身体の具合は大丈夫なのかい?」
「あぁ、今のところ生命に別状はない」
「そうか。元気になったから衛と再会出来たんだな」
「いや、ずっと元気で居られる訳じゃないんだ。時々は帰らなきゃ」

---地球に永住出来りゃいいのになぁ。後一ヶ月くらいでまた一度宇宙に戻らなきゃ…。面倒だし、心配だし、何より衛くんと出来ないし、はぁ…。

(まだ治療中なのか。こういうの、ドキュメンタリー番組で良くやってけど、結構大変なんだよな)


「何か困った事があれば遠慮せずに言ってくれ。オレで良ければ力になるから」
「そりゃ、どうも…」

---こいつ、どことなくダークな部分を感じるけど、特別衛くんへの危害はなさそうだな。
…そうだ、この星の事で色々訊きたい事もあるし。


「…元基くんは、恋人居るの?」
「え?あ、あぁ。まぁね。今は外国に行ってて会えないけど」
「へぇ。じゃあ寂しいね。なら恋人が帰って来た時って、もの凄く燃えたりする訳?」
「燃えるって…何が?」
「セックス以外に何があるんだい?」

(な、何だよ。いきなり直球な質問だな!…いや、外国育ちならこのくらい当たり前なのかも?)

「えっ?あ、そりゃあ、まぁ、久し振りに会えばそれなりに…。会えなかった分、普通よりは、その…」
「だよ、ね。判る、判る」
「君もそうなのかい?」
「僕も時々帰らなきゃならないから、その間は会えないし」
「あ、そうなのか。そりゃ、お互い辛いな」」
「暫く会えないからなのかな。僕、ただ抱くってだけじゃ満足出来なくてさ。何か色々やりたくなって仕方ないんだよ。その方が互いに興奮するしさ」
「あ…、そう。…いや、判るよ、男として。で、色々って、色々?」
「色々」
「相手はさせてくれるのかい…?」
「うん。最初はいつまで経っても嫌がるし、形だけの抵抗はするんだけど、結局は僕の言うこと事を聞いてくれてさ。すごーく喜んでイイ声出してくれるんだ♪」

---この間のアレは良かったよなぁ。衛くんって縛るともの凄く怒って嫌がるくせに、弄るといつもより善がるし、我慢した表情や声に艶が出るし。もしかして犯されるシチュエーションが好みなのかも…。今度は両手両足を大の字に縛りつけちゃおっかなー。

(…あ、笑ってる。こいつ、さっきまで難しい顔してたのに、自分のエロ自慢で笑顔になるなんて…)

「だからますます色々やりたくなっちゃうんだ」
「何か羨ましいね、君達…」
「ねぇ。色々試したいんだけどさ、何か良い方法を教えてくれないか?」
「な、何でオレに訊くんだよ!」
「知ってそうだから」
「……う(図星)」

(オレ、一応爽やか系で通ってると思ってんだけどな。どっかえっちっぽい部分が出てんのなかな。オレが通販好きって事、もしかしてバレてんのか?やば…)

---この星に帰って来た時、地球人の知識はキセニアンの能力で充分に吸収出来たけど、セックスに関しては知らない事が多いからな。一部の者しか必要としない事とか、マニアックな分類とか、まだまだ勉強不足な事が多過ぎる。キセニアンの侵食学習能力を失くしたのは痛いな。出来るだけデータ収集しなきゃ。


「こほん。色々って言ってもだな、何か使ってたりするのかな?道具とかは…?」
「道具?」

---セックスするのに何で道具なんか必要なんだ?

「ボンテージ系とかさ、バイブとか」
「…それ、どうやって使うんだ?」

(ええ?…なんだ、意外にお子様じゃないか。色々やるって体位のことだったのかな?)

「アダルトグッズの類は試した事ないのかい?」
「そういうの、どうしたら手に入る?」

(おっと、興味津々じゃないか。あ、そうか。入院生活とかが長くてマトモに学校とか行ってなかったのかも。友達とかと話する機会も少なくて、あんまり詳しくないのかも知れないぞ。それに日本でどうしたら良いのか知らないだろうからなぁ。何だ、こいつ結構可愛いかも)

「そうか。まだ大した事試した訳じゃないんだな。衛が来るまでまだ少しあるんだろ?オレも丁度休憩の時間だし。オレの部屋、すぐ近くなんだ。ちょっと来ないか?使えるもの、結構あるかも。カタログあるし、詳しく教えてやるよ」
「本当?是非色々教えて貰いたい!」
「任せろ。いっぱい伝授してやるよ」
「♪♪♪」

---古幡元基。何だか親近感を感じる。こいつは良い味方になるかも…!

(グッズも使わないで色々だなんて。69とか試して“こりゃ凄い”とか思ったのかな?まだまだ甘いな。セックスのお楽しみはこれからじゃん。オレに任せろって)


 
友情初期の奇妙な意気投合。
 そして数日後。


「元基くん」
「やぁ、フィオレ。今日もまた衛と待ち合わせかい?」
「うん。それよりこの間のバイブ、すっごく良かったよ。ちょっと大きいかなって思ったんだけど、全部飲み込んでくれちゃって、僕もう興奮しちゃった。それに何だかまだまだイケそうな感じだったし」
「へぇ。じゃあ次はもう少し大き目なサイズに挑戦してみるかい?あるぜ、外国モノも色々と」
「そうだね。あれも使ってみたいんだ、ほら、ボールが繋がってるやつあったろ」
「アナルボール?…そういやこの間はアナル用のバイブも使ったよな。君達、Aセックスが好みなの?」

(うーん。意外にマニアックだなぁ。ま、でも最近はアナルプレイも多いみたいだし)

「好みって言うか、殆どそればっかり」

(マイブームって訳ね。こういうタイプは覚えたこと飽きるまでヤルんだよ。可愛いサルだぜ)

「尻の穴ってキツくて良いらしいけど、挿れ難いだろ」
「そうだね。ちゃんと解さないと、お互いに痛いよ」

---もっと楽に出来たらとも思うけど、まぁあのキツいのが良いのは本当だし、何より痛がる衛くんの表情が徐々に悦こんでいく様子を見るのはたまんないんだよな

「後ろは勝手に内側から濡れてくれねぇもんな。準備するのって面倒じゃないのか?」
「まぁ、我慢出来なくて、前戯すっ飛ばして挿れて射精したい時なんかは、痛がるのは無視して突っ込んじゃうけど」
「おいおい、そんな時は後ろは止めとけよ」
「だって、挿れるところってそこか口しかないもん。でも、口よりやっぱさ」
「………は…?」

(……今、何かとんでもない事を、さり気なく言わなかったか?こいつ!)

「…………もしかして、君」

(ちょっと待て!…そういや、一言も“彼女”だとは聞いてないような気が…!)

「…君のセックスの相手って、もしかして男…だったの?」
「そうだけど?」

(……どうするよ。まったく悪びれていないぞ?こいつの国じゃ当たり前なのか?…いや、確かに今時ゲイなんて市民権を得てる状態だし、何を動揺しているんだ?オレ!)

「…そうだったのか…」
「どうかした?」
「あ、いや。勝手に勘違いしてたこっちが悪いんだ。それに愛は平等であるべきで、オレはそういうのを非難する気はまったくない。安心してくれ」
「?」
「…そっか、男相手だったのか。男相手に色々したかったのか…。男相手って、相手の男って…」

(………この動揺はもしかして…。この胸騒ぎはもしかして…。この想像はもしかして………っ!)

---元基くん、どうしたんだろう。もう3分間も呼吸が止まったままだけど。地球人に流行中の突然死かな?…あ、動いた。こっち見た。瞳孔開いてる…。

「なぁ、フィオレ」
「何?」
「……君の相手ってさ、もしかしてオレが知ってる奴…?」
「そうだけど?」

(……キターーーーッ!!…や、やっぱり…っ!?)

「そ、そいつってさ、麻布に住んでたりすんのかな…?」
「うん」

(う、うわっ!…よ、予感…的中…?)

「ずばり、名前の最初って、もしかして「ま」…?」
「そうだよ」

(…どひゃーーーーーっ!…だ、駄目だ。これ以上怖くて訊けないっ!駄目押しされたくないっ!)

「どうかした?さっきから汗が凄いけど」
「………」
「元基くん…?」

(……へー。そうだったんだ。…ふーん、あいつ、オレにも内緒で。……へー…)

「…なぁ。そいつさ、…バイブ使って、悦こんだ?」
「そりゃあ。最初は怖がって嫌がったんだけどさ、ゼリーで濡らしてゆっくり入れてあげたら全部入っちゃって。自分でも驚いてたな。スイッチ入れたら、もうすっごく善がってくれちゃってさぁ」
「………善がったんだ、…すっごく…?」
「僕だと突き上げたりしか出来ないけど、バイブだと回転する刺激も与えられるだろ?電動だと、ディルドや指とは比べ物にならないくらい掻き回しちゃうから、もの凄く良かったみたい。ちょっと悔しかったけど。…でもとってもイイ声で鳴くんだよ。艶っぽい声で喘ぐんだ」
「………喘ぐんだ、…艶っぽく…?」
「でさ、イった時の表情なんて、そりゃあ、もう可愛くってさ。目尻にほんの少し涙が溜まってて、呼吸が乱れててさ〜」
「………イクんだ…、…バイブで…!」

(…あいつ、後ろでもイケるんだな…)

「ああいう顔されちゃ、堪らないな。射精した直後でもすぐに膨れ上がっちゃうよ。…ね、見たい?」
「…え?君のやつを?」
「何でそんなもん見せなきゃいけないんだよ。それとも見たいの?…いいけど?」
「いや!見たくない!」

(……でも、あいつがどんな表情でイクのか、そっちは見てみたいような…。いや、何を考えている?オレ!…もの凄く見たい気持ちと、絶対に見ちゃいけないって気持ちが、最終戦争の域で戦ってる!ア、アンビバレンツーーーっ!)

「やだな、冗談だよ。僕のを君に見せるつもりもないし、僕だけの大切なあの表情を見せてあげる気もないよ」
「そ、その方が良いのかも!…人には想像する能力もあることだし…、何も確認しなくても!」
「…元基くん、さっきから本当に汗凄いけど、大丈夫?」

---あー…、衛くんの艶っぽい表情思い出したら感じてきちゃったなぁ。今夜も縛りたいなぁ…。早くバイト終わらないかな。早く帰って、部屋に戻ったらすぐにでもやりたいなぁ…。

「元基くん、それでさ。僕、もっともっと鳴かせてみたいんだ。ね、何か他に良いのあるかな?」
「…………………」
「元基くん?」

(天使の仔羊と、悪魔の仔山羊が戦ってる…!!……あ、)

「…フィオレ」
「ん?」
「………なかなか良い塗り薬があるんだ」
「えー?」
「…それを内側にたっぷり塗ってごらん。きっと、凄く君を欲しがるよ。焦らしたりしたら、泣いて突っ込んでくれって哀願するかも…」
「ええ〜っ?」

(…血塗れの天使の姿が見える…。悪魔が勝っちまったみたいだな…。オレの前世はきっと黒山羊だ…。ふっ…)

「ね、それ貰うよ!ね、いくら?」
「今日は無料サービスしとくよ。…オレの気持ちだ」
「有難う!元基くん、君は良い人だね。あー、この星の人間を全員滅ぼしてしまわなくて良かった」
「…何の事だい?」
「あ、いや別に。あ、そうだ。縛りのテクニックについても教えて貰いたいんだけど」
「はは…、縛るんだ」

(今度からはゲイ用の良い道具揃えなきゃな。…こりゃ暫く退屈せずに済みそうだ)

「拘束用の道具は色々揃ってるよ。ハーネスにも良いのがあったし。ちょっと陵辱的に枷とかも使ってみれば?」
「うん。色々試してみたい」
「そっちの好みに合わせて仕入れるようにするよ。君とは良い友人関係を持てそうな気がする」
「僕も何だかこの星の人間に好意を持てそうな気がして来たよ」
「…何?」
「あ、いや別に」

 二人の間に奇妙な友情が芽生え、一気に盛り上がる。

「フィオレ、待ったか?」
「あ!衛くん、お帰り〜」
「よ、元基。いつも済まんな」
「やぁ、衛。…お前、ジーパン何インチだっけ?」
「何だよ、急に。何でそんな事聞くんだ?」
「いや。ちょっとお前のサイズを知っておきたくて。…確か胸元は結構しっかり筋肉がついてたよな。尻の形も良いし…」
「???」
「衛くん、早く帰ろうよ!僕、すぐにでも帰りたいんだ」
「おいおい、ひっぱるなよ。あ、こら!…じゃあ、またな、元基」
「ああ。じゃあな、ごゆっくり〜」
「ん?」

 フィオレと元基の出会いが、衛のセックスライフを大きく左右させていく。


「お前さ、最近良くクラウンに行くよな。元基とも仲良いみたいだし」
「元基くんとは友好関係にあるんだ」
「そりゃ良いことだけど。おい、元基にオレ達の事、喋ってないだろうな?」
「僕と衛くんがセックスしてるって事?」
「馬鹿!大きな声で言うなよ」
「言わないよ。衛くんと約束したんだから、ちゃんと守るよ。それに君と僕だけの秘密だなんて、独占欲が大満足♪」
「…。とにかく、絶対誰にも言うなよ?」
「勿論」

---僕、何も言わないのに…。何で衛くんは僕を信用しないのかな。ま、いいや。早く帰ってこの軟膏を衛くんのアナルにたっぷり塗ってあげよう。どんな効き目があるんだろう。楽しみだな。あー、良い地球人が傍に居てくれたもんだ。本当に滅ぼしてなくて良かった、良かった♪

 
嗚呼、素晴らしきかな。奇妙な友情。

■END■
 


 
あふぉーですか。この二人は(笑)
 異星人で尚且つ孤独なフィオレが、何故セックスに詳しいのか言い訳する為の一作。
 まったくえっちに及んでないのに、15禁マークをつけてしまいました。うぬぅ。正しい選択だったかどうかは謎。

 アニメの元基お兄さんは、見る人によっては天使な人ですが、私には悪魔な人にしか…(笑)
 天使さんをお好みでしたら申し訳ないっす。
 でもうちのまもるたんが住む麻布十番街は、こんな人達ばかりがお住まいになってる地域なんでございますよ〜。(他にも色々と…)

 実写の元基お兄さんは私の思うキャラにちょっと近そうなんで期待大♪ 亀好きだなんて、予想外に素晴らしいキャラで大喜び。毎週、楽しみだなー。   >゜))))彡  2003.10.26

 

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